病院便り
2021.08.04
いぬの病院バウバウ便り 〜便検査ってどうやるの?〜
皆さんは動物病院で検査がどのように行われているか、ご存知でしょうか?
筆者もバウバウ病院で勤務を始めるまでは全く知らず、それどころかワンコを飼ってこなかったので動物病院に行った事すらありませんでした。
血液検査をするにはどれくらいの血液がいるのか、尿検査の機械はどう扱ったらいいのか…
何もかも初めての事だらけでした
今回は、事務スタッフの栄さんに、愛犬スージーちゃんの便検査の準備にチャレンジしてもらいました!
まずは、事務スタッフの栄さんを紹介します!
栄さんは日替わりで京橋の幼稚園と、門真の病院に勤務しており、ご家族は栄さん、旦那様、2人のお子さん、スージーちゃんの5人家族です
ご実家にはアンジーちゃんというトイプードルさんがいます。たまに病院へ同伴出勤しています。先代にもコーギーさんを飼っていました。ワンちゃん大好きご一家ですね!
↑栄さんとアンジーちゃん
栄さんの印象は、筆者自身一緒にお仕事をしていて、仕事はテキパキでき、ノリが良く冗談も通じるので「同年代だっけ?」と勘違いするほど若々しく明るいお母さんです!
(ちなみに筆者は20代前半です)
愛犬のスージーちゃん
スージーちゃんはウェルシュコーギーペンブロークとチワワのミックス犬で、体の大きさは一般的なミニチュアダックスフンドくらいです。お顔はチワワ、お耳や体にコーギーっぽさを感じられる可愛らしい女の子です
そんなスージーちゃんは1歳のバースデー祝いに、お家でワンコ用バースデーケーキを食べました
ところが、スージーちゃんのお腹には合わなかったのか、便が緩い状態が続く状態に…
そこで、腸内がどんな状況か知るために便検査を実施する事になりました
普段であれば動物看護師の若林や筆者のトレーナー林が便検査の準備をします。
しかし、今回は栄さんに「やってみませんか!」と提案をしてみました。
突然の無茶振りでも、快く引き受けてくれました
先住犬の受診で動物病院に通ったことはあるようですが、働くのは初めてというの栄さん…便検査を一度もしたことがありません。
うまくできるでしょうか?
まずは検査で必要な物を用意します。
全部で5つあります。
①生理食塩水
②カバーガラス
③スライドガラス
④爪楊枝
⑤うんち
⑤のうんちはどれくらい必要だと思いますか?
たくさん必要と思われる方が多いですが、実は顕微鏡検査では、爪楊枝の先端部分にちょこっと付着する程度の量を使います。
★検査は少量でいいのですが、便全体の状態も診断に必要なので、動物病院へ便を持参する時はラップやビニールなどで包み、乾燥しないようにうんち全体を持参してくださいね。
必要な物が揃いました。
次は実際に栄さんに使ってもらいましょう!
教えてくれるのは鳥類大好き、動物看護師の若林さんです。
左 : 栄さん 右 : 動物看護師 若林さん
①スライドガラスに生理食塩水を1~2滴垂らします。目薬の1~2滴と同じくらいの量です。
※見えにくいので緑の机で撮影しています。
②爪楊枝の先に取った便を、生理食塩水につけて写真くらいの濁りになるように便を軽く混ぜます。
③カバーガラスをそっと被せます。
カバーガラスの一辺をスライドガラスに密着させてから、斜めに被せると気泡が入りにくいです。
カバーガラスの一辺をつけて…
パタン!
筆者は中学の理科の実験以来の事なので、「なんだか懐かしいなぁ」と感じる作業の一つだと思っています。
④完成したスライドガラスを顕微鏡にセットし、獣医師の松本先生にバトンタッチ。
顕微鏡で観察中…所見はどうでしょうか?
写真の栄さんは、松本先生が見ている顕微鏡の様子と同じものが映し出されたモニターを観察しています。
当院では顕微鏡で獣医さんが見ている検体の状態をモニターに映し出すことができ、飼い主様に便の様子を見てもらうことができます。
こちらは実際に飼い主様が直接来院されたときの様子です。モニターを見ながら便の様子を解説しています。
スージーちゃんの診察結果は、らせん菌という悪玉菌が多くなっており、腸内バランスが崩れてしまっていたようです。
この菌は、健康な犬であっても少量便の中に存在しますが、菌が増えすぎてしまうと、下痢や血便といった症状が現れます。
写真の黒い円の中にいる菌に注目して次の動画をご覧ください。
動画内で特に激しく動き回っているらせん状の菌が’’らせん菌’’です。
今回スージーちゃんにはお腹の調子を整えるお薬が処方されました。
※写真をクリックしていただくとトレーナー紹介ページに移動します。