犬の皮膚病におけるシャンプーの役割 ~メディカルシャンプーのご紹介~
いぬの病院バウバウでは皮膚治療の一環として、メディカルシャンプーに力を入れております。
肝臓や腎臓に外用薬を塗るなんて不可能ですよね。
皮膚は内用薬ももちろんですが外用薬やシャンプーといった外側からのアプローチが可能です。
そのメリットを活かし、シャンプーという形で皮膚病の治療を進めていくのがメディカルシャンプーです。
本日はメディカルシャンプーで皮膚の症状がぐんと良くなったわんちゃんを紹介します。
身体検査にてお尻周り、お腹、足に発赤がみられ、腹部に黄色の鱗屑(フケ)も多数、右後ろ足の部分は発赤、鱗屑、更には脱毛もみられました。
以下が初診時の写真です。
皮膚の検査でテープを使用した検査(テープストリップ法)をしたところ、細菌(球菌)が検出されたため、膿皮症と診断しました。
もともと皮膚に存在する細菌が増殖してしまい、皮膚炎を起こしてしまいます。
原因は様々で、真菌などの感染症やアトピー性皮膚炎、免疫疾患などがあります。
むぎちゃんのメディカルシャンプーの内容は以下です。使用したシャンプー剤はノルバサンサージカルスクラブというシャンプー剤で、クロルヘキシジンが入っています。
クロルヘキシジンは殺菌作用があり、むぎちゃんのような膿皮症の症例によく使用するシャンプー剤です。
また、薬剤の入ったシャンプーをする際、つけ置きをしてもらうようお願いしています。
理想は10分です。
ただし、わんちゃんによっては10分のつけ置きが難しい場合があるので、出来る範囲にはなりますが、むぎちゃんの場合とてもいい子でしたので、10分のつけ置きを実施しています。
また、このような殺菌成分が入ったシャンプー剤は乾燥しやすいので、シャンプー後に保湿剤を使用しています。
むぎちゃんの場合はダームワンという保湿剤をシャンプー後に塗付しています。
ご自宅での痒みもほとんどなくなったそうです。
皮膚の状態も良くなり、痒みもないとのことだったので、抗菌薬の投与はこの時点で終了しています。
メディカルシャンプー5回目(初診から2ヶ月後)
症状がひどかった足の部分もフケ、赤みがおちつき、発毛もみられました。
変わらず、ご自宅での痒みもほぼなしとのこと。
皮膚の発赤具合も改善し、鱗屑もほぼ見られなくなりました。
皮膚の症状が落ち着いてきた段階で、メディカルシャンプーの頻度を減らしていき、現在では月1回の頻度で良好にコントロールできております。
このようにメディカルシャンプーでは皮膚症状の改善に効果的です。
お薬のみでも治療は可能かもしれませんが、シャンプーを治療の一環として取り入れると、お薬を減らせたり、症状の改善が早まるケースが非常に多いです。
むぎちゃんの場合、お薬は初診から2週間後にはストップできています。
メディカルシャンプーを実施しなかった場合は、さらに長期間のお薬が必要だったでしょう。
むぎちゃんはとてもいい子で、シャンプー中もこんな感じでリラックスしてくれています。
メディカルシャンプーに少しでもご興味があれば、お気軽に当院までご連絡ください。
獣医師 松本