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病院への恐怖心、苦手意識どうすればいい? 〜ある柴犬さんの奮闘記 シャンプー編〜

こんにちは!
いぬとねこの病院バウバウの林です。

エリザベスカラー、口輪練習を終え、ついに柴犬はるちゃんがシャンプーにチャレンジします!

治療の最終目標であるシャンプー。はるちゃんはどんな反応をするのでしょうか?
前作をお読みになっていない方はコチラからご覧ください!
第一弾 エリザベスカラー編
第二弾 口輪編

エリザベスカラー、口輪をつけられるようになり、目標の1つであった耳掃除ができたはるちゃん。
この日も元気よく来院してくれました!

筆者の手にはおいしいおやつ…と口輪。
以前耳掃除で使用したので少し警戒気味でした。

耳の診察後、アフターフォローとして週に1回遊びに来てもらうだけの日や、口輪に入ったおやつを食べるだけの時間を設けましたが、やはり嫌なことをされた事は覚えているようです。
診察後のアフターフォローが全くなければ、信頼関係は0からのスタートになっていたかもしれません。

しかし、どれだけ嫌なことがあっても「もうそれは無理!」と物事に対して一気に距離を取らないのがはるちゃんの良いところ。
「嫌だけど頑張ったらご褒美がもらえる!」「この人と一緒だから頑張れる」「お母さんが一緒についているから怖くないかも!」
筆者自身、はるちゃんと練習を重ねてきて、「はるちゃん」という子を理解できてきたように思います。

まずは口輪を装着。
大きめのおやつを入れるとすんなり口を入れたので無事装着できました!
が、なかなか外してくれないのでご機嫌斜めになってしまいました。(涙)
そのままエリザベスカラーを装着。

「シャンプーだけなら口輪だけでいいのでは?」と思われる方も多いでしょう。
しかしはるちゃんは非常に手先が器用です。特技である「口輪外し」がシャンプー中に発動されてしまうと、びしょ濡れの状態でシャンプーを中断することになってしまいます。

そうなると皮膚疾患がある子にとっては良くないので、万が一に備えてエリザベスカラーも装着します。
装着したはるちゃんがこちら↓↓

飼い主様は一旦帰宅してしまったので、しょんぼりです。
おやつも食べてくれません。
この時、筆者は「もしかして信頼度がマイナスになってしまった?」と大変不安を感じました。

さてシャンプーを始めましょう。

まずは爪切り。パチパチと素早くカットします。
緊張しているのか、落ち着いているのかおとなしく施術を受けてくれました。

続いてシャワーです。
最後にシャンプーをしてから半年以上は経っているようなので、念入りに濡らしていきます。
シャワーの音と勢いにびっくりしないよう弱めのお湯からスタート。
はるちゃんが安心できるよう手だけではなく腕も当てるようにし、できるだけ密着しながら行いました。

時々はるちゃんが何か言いたげな声を出します。
「わんわん」ではなく高めの声で「にゃうにゃう」と猫のような不思議な声でした。
顔も濡らします。
口輪をしているので、しっかり濡らすことが出来ます。
初めは緊張で体に力が入っていましたが、気持ちよくなったのか穏やかな顔つきになってきました。
全身濡らすことが出来たので、シャンプー剤できっちり汚れを落としていきましょう!長い間シャンプーができていなかったので、汚れと泡が打ち消しあっているのか、泡が消えるように無くなりました!
しっかり泡立てて洗っていきます。なんだか気持ち良さそうな顔ですね。( *´艸`)筆者ははるちゃんがお湯が怖くて暴れたり、パニックになってしまうかと考えていましたが特に問題はおきなかったので安心しました。
シャンプー剤を洗い流した後は、弱めの温風で毛を乾かし無事終了。

初来院から約5か月後に当院でシャンプーが出来るようになりました。

その後は2か月に1回のペースで当院でシャンプーを実施しています。
「月1回でなくてもいいの?」と思われる方もいると思いますが、はるちゃんにとってシャンプーを嫌いにならないよう筆者との関係性をキープできる期間かつ良い皮膚の状態をキープできる丁度よい期間なのです。

はるちゃんは「シャンプーが好き!」とはならないですが、「またシャンプーかぁ。しかたないな」という風に諦めてくれたり、気持ちの切り替えが早くなったように思います。

ここから先はシャンプー成功後、来院回数を重ねるごとに筆者が発見した事を紹介します!

筆者のブラッシングを受けるはるちゃん↓
普段外すことができないハーネスを外しているので、ハーネスの下の毛がもっさり残っています。
さらに換毛期だったので抜いても抜いてもきりがありません( ;∀;)

★発見したはるちゃんのブラッシングのコツ
同じ場所をしつこくブラッシングしたり、長いストロークで撫でるように毛を抜くと不機嫌になります。
ポンポンと短いストロークでまんべんなくブラッシングしてあげると気持ちいいようです!
普段撫でるときの要領と同じでした。(^^♪たくさん抜けましたが、これはほんの一部なのです…。↓シャンプーがなく病院に遊びに来るだけの日もたまにブラッシングをします。
口輪がないのではるちゃんの緊張もほぐれているように感じました。↓
太ももあたりの毛がぽつぽつと浮いてきており、手で簡単に抜けました。(*^▽^*) 
小さなはるちゃんが量産されているようで思わず笑ってしまいました!

下の写真は口輪だけでシャンプーを受けるはるちゃん。
回数を重ねるとシャンプー台でおとなしく座っており、自分で口輪を外そうとすることが減ってきました。
★発見したはるちゃんのシャンプーのコツ
シャワー音やシャンプーで洗われることは大丈夫だとわかりました。
泡で洗うときは汚れを落とそうと力を入れてゴシゴシしたくなりますが、「何かされる?」と不安を感じてしまうので、指先で毛の根本と皮膚をマッサージするように洗います。
とても気持ち良さそうに受けてくれますが、不意にバスタブから飛び出そうと大ジャンプするので目は離せません💦
こちらはエリザベスカラーだけでシャンプーを受けるはるちゃん↓
この日は顔周りはぬるま湯で拭きとるだけでしたが、顔を触ってもあまり抵抗しませんでした。
回数を重ねるごとに、シャンプー中の顔が穏やかになってきているように感じました♪
次の写真は口輪を外してハンドドライヤーを受けるはるちゃん。
シャンプーで疲れているのか、温風がきもちいのか、とても眠そうでした。
★発見したはるちゃんのドライヤーのコツ
ペッカリー(強い風で体の水分を吹き飛ばす送風機)は苦手なようで、風を当てると猫のような声で鳴きだす癖があります。
少しでもドライヤー時間を短縮するために、シャンプー後はしっかりとタオルで水分をとるように心がけました。
顎から前胸、前足を乾かされるのが苦手なので、この部位はタオルとハンドドライヤーで乾かします。
下の写真ではありませんが、バスタブの中でドライヤーを当てるとうまくいくことが分かりました。
はるちゃんの行動をある程度制限でき、不安そうにしている時は筆者が体を密着させることができるので、安心感を与えながら乾かせます。
筆者の服は濡れてしまいますが、ドライヤー中に一緒に乾いていきます!
シャンプーを終え、トリミング室でお迎えを待つはるちゃん。↓
冬の毛が抜け、夏の毛になったのでかなり毛量が減りました。
ご褒美のおやつも食べ、お水もたっぷり飲み一服しているようです。
人の気配がすると「お母さん来た!?」と何度も立ち上がる姿はとてもかわいかったです♡
はるちゃんはシャンプーができるようになっただけではなく、ご自宅での生活にも変化があったそうです。
病院では噛ませる経験をさせておらず、「噛んでもいいことはない。噛まなければおやつがもらえた。行くと楽しいことが待っている。」
このような経験がご自宅でも発揮され、お母さまが噛まれる頻度はかなり減ったそうです。
思い返してみれば、当初は指に絆創膏や包帯を巻いていることもありましたが、最近はほとんど見かけません。
はるちゃんも噛むことで意思を通そうとしなくなり、お母さまも噛まれないような触れ合い方を実践してくれているようです。

病院内でも変化がありました。
筆者以外のスタッフへは、「おやつをもらったから、はい、さよなら。」とスーパードライな反応しかしてしていませんでしたが、看護師さんに撫でて~と体を擦りあてる瞬間を目撃しました!
これには筆者も看護師さんもびっくり!「この子は本当にはるちゃん?」というほど変わりました。
伏せや待ての指示を聞くくらい、他の人にも関心を持ってくれるようになりました。

看護師さんの伏せの指示を聞くはるちゃん。上手にできたのでおやつを貰えました!↓
病院での本来の目的を達成するだけでなく、はるちゃんが生活していく環境にも変化が見られました。
これはとても素晴らしいことだと思います。

ブログには細かくすべては書いていませんが、トレーニングがうまくいかなかったり、どうしたら伝わるのか何度も悩む事がたくさんありました。
筆者は「はるちゃんの先生」というポジションですが、毎回はるちゃんに「いぬとは何か」を教えてもらっている生徒でもありました。
はるちゃんという子に出会え、一緒に勉強できたことを大変嬉しく思います!

エリザベスカラー、口輪、シャンプーの課題をこなしたはるちゃん。
よく頑張ったね!おめでとう!

毎月予定を合わせて、何度もご来院いただいた飼い主様。
根気よくお付き合いいただきありがとうございました!

「柴犬はるちゃん」の記事はこれにて完結ですが、はるちゃんの挑戦はまだまだ続きます。
筆者以外の人と関係作りをする為、シャンプーを続けられる状態を維持する為、病院を嫌いにならないよう通院は続くでしょう。

どんなワンちゃんのトレーニングも、「目標が達成できたから終了」するのではなく、「忘れたり、衰えないように継続してトレーニングし続けること」が大切です。

特に普段頻繁に行くことがない動物病院への恐怖心、苦手意識の克服はすぐに成果が出ないことが多いですので、根気よく続けてあげてくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました!
少しでも多くのワンちゃんと飼い主様の苦手克服の参考になりますように☆彡

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医事主任 林

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