脱毛の改善事例 case1 ~保湿での改善①~
この記事は”いぬの病院バウバウ”開院前の2018年にいぬの幼稚園バウバウで取り組んだ時の記録に、加筆修正をくわえたものです。
アイクくんの皮膚トラブル(脱毛)
いぬの幼稚園バウバウには沢山のワンちゃん達が日々登園してくれています
今回はそんな中から、ミニチュアピンシャーのアイクくんの皮膚トラブルについてお伝えしていきます。
ミニチュアピンシャーのアイクくんは現在6歳の男の子です
幼稚園に通い始めてから5年以上経つアイクくんですが、登園し始めてすぐの頃、大腿部(太もも)の一部が脱毛している時期がありました
アイクくんのかかりつけの動物病院に受診したところ糸状真菌症と診察され、治療をしていましたが改善が見られませんでした。
■獣医皮膚科学会認定医の診察
そこで当園から、皮膚の専門家である獣医皮膚科学会認定医の今本三香子先生への受診を提案しました。
今本三香子先生は、現在‘‘いぬの病院バウバウ‘‘の院長としても会員様の愛犬の診療を行っています。
今本先生の診療の結果、乾燥肌が原因で痒みが発生し、その箇所を舐めたり噛むことで脱毛した事が分かりました。
■乾燥による脱毛のメカニズム
どうして肌が乾燥することで脱毛になってしまったのか、それにはまず皮膚の構造について理解する必要があります。
皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織に分かれています。表皮の最も外側には0.02mmの角質層と呼ばれる層がありこの角質層が外部刺激の侵入を防いでくれています。
角質層は何層もの角質細胞がレンガの塀のようにぎっしりと積み重なった構造をしています。角質細胞の隙間は細胞間脂質で埋められており、角質細胞同士を繋ぎ止める役割と水分を貯える役割をしています。それによりバリア機能が働き外部刺激の侵入を防いでくれています。
バリア機能とはうるおいを保つことで乾燥と外部刺激から肌を守る役割のことをいいます。
細胞間脂質は主にセラミド、脂肪酸、コレステロールからできていて、セラミドはそのうちの半分の割合を占めます。
セラミドは角質層で細胞同士を繋ぎ止めるだけでなくスポンジのように水分や油分を蓄える働きもあります。
乾燥でセラミドが蓄えている水分が減少し、角質細胞同士を繋ぎ止める力が弱くなると、角質細胞同士の間に隙間が生じます。そうなると、外的な刺激が角質層をすり抜けて深部に到達し、神経を刺激する。こういうメカニズムで痒みが発生します。いわゆるバリア機能の低下と呼ばれる事態が起こるわけです。
その他にも皮膚を掻いたり傷を負うことで角質層の機械的損傷でもバリア機能は低下し、痒みを生じてしまいます。
痒くなる→掻く→角質層が傷つく→バリア機能が低下する→外的刺激が皮膚内に入る→痒くなる→搔く・・・・
と言った具合に掻けばかくほど悪循環で痒みが増してしまいます。
また傷ついた皮膚から感染を起こすことで、症状が悪化することも多く見られます。
■保湿の重要性と脱毛の改善
アイクくんの場合皮膚が乾燥することで痒くなり、舐めたり噛んだりしているうちに被毛も一緒に噛んでしまい脱毛してしまいました。
そこで今本先生の指示のもと、アイクくんの乾燥を防ぐための保湿剤が処方され、幼稚園で保湿剤塗布のケアを行いました。
保湿を継続した結果、1週間後にはアイクくんの脱毛ははすっかりなくなりました。
脱毛していた部分が綺麗に無くなっています。
改めて見比べると、見違えるほどです
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保湿を始める前
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保湿を始めて一週間後
皮膚のバリア機能の維持には、保湿してあげることが一番効果的です
その後も乾燥する時期には飼い主様が保湿を続けられていたので、乾燥による脱毛は再発しませんでした
冬場のような乾燥する時期、短毛のワンちゃんは皮膚のケアを注意する必要があります
短毛のワンちゃんは寒がりの子が多いので、暖かくしてあげるために毛布を用意したり洋服を着せてあげますが、空気が乾燥している時期は静電気が発生しやすく、静電気が原因で角質層が損傷を受け、痒みを生じ、舐めたり噛んだりの繰り返しになることが多く見られます。乾燥しやすい季節はしっかりと保湿をしてあげる事が重要です。静電気が除去できるブラッシングスプレーも取り扱っています。
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今回は保湿をすることですぐにアイクくんの脱毛は改善されました。愛犬の健康を保つために日々のケアはとても重要です。
愛犬がいつまでも元気でいてくれる事は飼い主にとっては一番嬉しいことだと思います。我が子のためならいろいろな事をしてあげたいと思うことは愛犬家であれば皆同じ思いではないでしょうか
いぬの病院バウバウでは保湿剤の処方やシャンプー剤の相談・販売を行っています。
酷い皮膚疾患については治療としてのシャンプー(メディカルシャンプー)も実施しています。
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